勉強会 景観整備機構

景観・まちなみとは(事前資料WEB記事)vol3

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はじめに

前回ブログで、第2回景観整備機構指定勉強会の「景観・まちなみとは(事前資料WEB記事)vol1&2」を掲載しましたが今回はその続編になります。

本記事では、第2回景観整備機構指定勉強会の内容について学習するためのコンテンツになります。事前にお読みいただき、当日勉強会の方を視聴していただくと理解の深さが変わるかと思いますので、是非ご一読ください。

vol3では、前々々回記事「次の勉強会で伝えたいこと」で記載していた下記の内容と、前々回・前回記事「景観・まちなみとは(事前資料WEB記事)vol1」「景観・まちなみとは(事前資料WEB記事)vol2」で取り上げた内容の続きに触れてみたいと思います。

 

  • 維持保全・運用(経営)などのマネジメント分野
  • 不動産価値や税務面などを含めた不動産分野

 

 

維持保全・運用(経営)などのマネジメント分野

はじめに、以前の記事「次の勉強会で伝えたいこと」で触れたことを思い出してみましょう。

これまでは、・・・景観・まちづくりの「デザイン」に対して主に向き合ってきていました。
でも、それらを所有している人や管理運営している人など関係する方々の話をうかがうと、そこには実際に所有・管理・運営している方の、維持することのむずかしさに対してや、もっと深いところで、もしくは地域スケールで俯瞰的にとらえて取り組み続けているという姿がありました。

現在、毎年いくつもの景観的にもしくは文化的に価値のある建物あるいは無形の伝統などがなくなっています。
多くは、価値の評価は維持されているにもかかわらず、物理的にもしくは運営的(人的)に維持が困難であることを理由にしているのはすでにご承知のとおりかと思います。

 

また、もうひとつ以前の記事で以下の内容に触れました。

そして、活動を続けている多くの方の「時間や労力や持っているスキル」といった自身のリソースを投資・提供し続けている姿がそこにありました。
その周辺では、「これは素敵だね!」「是非残してね!」といった声援をかけたり、その価値を評価しその恩恵を享受はすれど、そこに身を入れて協力する方はわずかという現実がみられます。

ここからいえることは、基本的にデザインされたものはノーメンテではないということ、それから、そこから何かしらを無償で享受している人がいてアンバランスであるということです。

 

ここでの話は、所有者とその価値を享受する人の関係を示しています。

所有者とその価値を享受する人の関係(所有者個人の例)

 

実際の問題はこのように単純な事柄だけではありません。

この所有者が上図の例のように単独の場合は、その者の資産と運用で維持できるかどうかということになります。多くは個人所有の建物に価値があり、周囲では良いねといって残したがりますが、個人資産であるがゆえに維持活動に限界が来るパターンになるわけです。

そこで、「みんなでなんとかしようよ!」という動きがあったり、その建物で民泊ビジネスをはじめてみたりすることで運用益を獲得して維持費を捻出するケースが現れます。
成功例ばかりではありませんが、これは、たとえば学生と協働したり、仲間とクラウドファンディングを初めてみたりなど、すでにあちこちで事例がありますね。

所有者とその価値を享受する人の関係(所有者個人+支援者の例)

 

ではそれらの事例紹介と分析をといきたいところですが、個人所有のケースは別に記事化等するとして、今回の勉強会で取り上げる次の2つの事例についてを触れておきたいと思います。

 

まず、熊澤酒造のケースです。

所有者とその価値を享受する人の関係(所有事業者小規模の例)

 

このケースは、建物所有者が事業をしているけど規模が小さい場合になります。事業者の規模が小さい場合、ファミリー会社的になることが多いので事業の方向性で意思の疎通がはかりやすいことが多いかと思います。
また、熊澤酒造の場合、古民家を改修移築しているのでその費用や維持費用が気になるところですが、そこは勉強会でご確認ください(笑

 

では、次に銀座ライオンのケースです。

所有者とその価値を享受する人の関係(所有事業者大規模の例)

 

このケースは、建物所有者が事業をしているけど規模が大きい場合になります。事業者の規模が大きい場合、社員が多く意見にばらつきがでやすいので、事業の方向性で意思の疎通がはかりづらいことが多いかと思います。銀座ライオンの場合はどうかというところですが、こちらも勉強会でご確認ください(笑

 

不動産価値や税務面を含めた不動産分野

このように維持をするためのスキームにはいろいろな課題がありました。そして、次に絡んでくるのが支出の内訳として登場する不動産という資産価値と資産保有に対する税金です。これらもきちんと計画をして経営計画に反映しておかないと、収支バランスが崩れてしまいます。

これは乱暴にひとことで言ってしまえば、財務諸表、特に財務三表の管理といえます。
個人事業主で青色申告している方や法人の方にはおなじみかもしれませんが、個人の方からすれば宇宙語になるのではないでしょうか。

財務諸表は、プラスの財産とマイナスの財産である負債とのバランスをみることで収支を把握することができ、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」「利益金処分計算書」「附属明細表」などの種類があります。
そのうち、
貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3種類が、「財務三表といわれています。

特に、キャッシュフロー計算書で現金の動きに注目することで、黒字倒産(仕入れを先にして後から支払いするときに現金がなくて資金繰りが回らなくなる状態が続くと危険)を防ぐ助けになります。

 

また、財務諸表にも含まれてくることですが、不動産を持っていると資産ということになるので、固定資産税がかかります。賃貸借契約で不動産を借りている場合は賃料が発生します。人を雇っていれば給料の支払いのほか、雇用保険料社会保険料なども発生します。

これらの支出を正しく把握していないと収支がマイナスになっていることに気がつかないこともおきます。
また、建物の維持修繕費用も見込んでおく必要があります。毎年かかる修繕費用だけでなく、防水やりかえや外壁改修などスパンが5年、10年の修繕項目もあります。

このように、経営をしっかりすることが大切ですが、これらは各種マネジメント業務になります。まずは基本事項としてその中でも関わりの深いものと、関連用語を簡単にご紹介しておきます。

プロジェクトマネジメント
ある特定の建築事業活動全般にわたって、最善な方法でマネジメントする業務
設計・施工段階、運営、維持・管理の段階
新築だけでなく既存建物の改修においても関わるマネジメントであり、特徴としては維持・管理の段階まで考えるという点です。

ファシリティマネジメント
企業・団体が組織活動のために施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動を指します。
運営及び維持・管理段階に関して使われる用語になります。
※ファシリティ:施設とその環境を意味します。

アセットマネジメント
不動産所有者や投資家の不動産事業による利益獲得のため、テナント対応など一連の不動産業務を所有者の代行として管理することを指します。

(テナント)リーシング
不動産業界において、賃貸不動産物件に対してテナント(借主)の仲介業務をおこなうことを指します。

デューデリジェンス
不動産の適正な価値やリスクを評価するために行う調査のことを指します。
弁護士、不動産鑑定士、公認会計士、環境コンサルタント等の専門家によって例えば以下のような調査によりそれぞれ精査します。
不動産状況調査
建築物の物理的状況調査
建築物の法的調査
建築物の経済的調査
建築物の環境調査

ライフサイクルコスト
建築や設備の建設から取り壊しまでにかかる総費用であり、燃料・電力費用や保守管理・修理などの維持費も含みます。

 

第2回景観整備機構指定勉強会で体験することについて

前々回記事「次の勉強会で伝えたいこと」で次のような項目を記載していました。

  • 景観・まちなみに関する基本知識・景観要素
  • 景観整備機構の位置付け・業務内容
  • 相模原市内の景観要素を持つ建物事例・景観調査手法の一例
  • 景観的に重要な建物を活用するための基礎事項
  • 既存建物の価値・保全の手法、維持活用のスキームの一例
  • 企業における景観(または伝建的要素)に寄与する建物維持のモチベーションやインセンティブの考え方
    ー 周辺地域への寄与・その構想や実現性の検討方法
    ー ファシリテートスキルの基本

少しこの内容についてのフォローアップをしておきたいと思います。

上記のうち、「景観・まちなみに関する基本知識・景観要素」と「景観的に重要な建物を活用するための基礎事項」は本連載にて事前学習としていますので、勉強会では内容は触れません。

また、「ファシリテートスキルの基本」については、勉強会の中における「インタビュー」や「トークセッション」で実際の様子をご覧いただくことができますが、その前準備をした上で実施することでそれなりにスムーズに進行ができるといえます。

では、どのような準備をしているのかというと、インタビューにせよトークセッションにせよ、実施の目的といくつかのテーマを事前に検討し用意しています
実際に初めてみると、アドリブで進行するような場面はそれなりに起きるのですが、その際にも目的・テーマが明確であれば軌道修正しながら進行していくことができます
ですから今回も事前にインタビュー内容についてのした打合せや、トークセッション内容についてのした打合せを出演者と行っています。

その上で進行役や聞き手に求められるスキルは、目的・テーマに沿った話の進行からずれていったときに「元の話題に戻してあげること」になります。
一定の意見にまとめることが進行役の仕事と思われる人もいますが、ファシリテーターは目的に沿った議論を円滑に誘導する役割であり、意見を誘導する役割ではないので気をつけましょう。

 

さいごに

今回はvol1、2に続き、vol3にてとりあえずの完結としておきたいと思います。ご存知の内容であれば、基本的な内容だなと思われるかと思います。

本勉強会では、初めての試みとしてブログによる事前学習プログラムにトライしてみました。内容的には基礎事項をなるべく広く触れるようにしたつもりです。

それぞれの項目については、引き続きブログや勉強会などで触れていきたいと考えています。そこで、新しいブログ記事を公開したときや、勉強会やまちあるきのほか調査研究のためのご案内などをするのに、メールマガジンでの運用を準備しています。準備出来次第ご案内をしますのでぜひご登録ください。また、本勉強会のアンケートでも先行でご登録情報を入力できます。事前登録いただいた方には、開始次第ご案内します。

 

 

お申し込み詳細はこちらから

https://j-kana.net/items/6010e7ad6728be2def2c11bc

 

 

初稿2021年3月25日

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