
HOME > 一般の皆様へ > シックハウスを知っていますか?
みなさんは「シックハウス」という言葉を聞いたことがありますか?
シックハウスとは、住宅内に放出された化学物質の影響により、頭痛、吐き気、目の痛みなど様々な健康被害を生じさせる現象のことです。症状は人によって様々で、発症の仕組みも未解明な部分がたくさんあり、近年大きな社会問題になっています。人体に影響を及ぼす可能性のある化学物質には、揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン等でVOCといいます。)や有機リン系殺虫剤のクロルピリホスなど色々なものがあります。
これらの化学物質は、建材に使用された接着剤や塗料、防虫剤などから放出され、室内の空気を汚染するのです。
「アメリカでは、次のような事件が起きました。
退役軍人のパーテイで、参加者の多くが中毒症状を訴える事件がありました。
その事件の原因は空調ダクトにジオネレラ菌(最近日本でも24時間風呂で問題になりました)が繁殖し、パーティー会場に菌が散布されてしまった」、この事件から、1件のビルで多数の人が体の異常を訴える現象を「シックビル症候群」と呼ぶようになりました。
この事件を、 病気を引き起こす家(住まい)を日本では[シックハウス]と呼ぶようになり、1996年頃より使われ始めました。この病気は、家屋を新・改築した直後に頭痛や吐き気など原因不明の症状に見舞われます。
正式名称は「シックハウス症候群」(新築症)と呼びます。その原因は、建材や塗料などに含まれている化学物質ホルムアルデヒド、トルエン等が気密性の高い室内に放散されているのが原因です。
同時に「化学物質過敏症」と言うものもありますが、同一のものではありません。
「シックハウス症候群」を経由して「科学物質過敏症」になる様なケースは考えられます。
新築、改築を終えたばかりの室内に入ると、目やのどが痛くなったり、頭痛がしたり、喘息発作が起きたり、アトピー性皮膚炎が悪化したりします。図-1を見てください。健康への影響は、アレルギーと精神的に偏重をきたすことが分かりますね。最近の傾向である、(すぐにキレル現象・家庭内暴力DV)と似ていますね。室内環境と関係があるのでしょうか?{住まいのO-157}と呼ぶ資料もありました。うまい呼び名ですね。
図-1 室内汚染による健康影響 | ||
1. 本人または家族にアレルギー | 5. 朝すっきり起きられない | 9. 仕事、生活への意欲の低下 |
2. 疲れやすい、慢性疲労 | 6. 頭痛、後頭部の痛み | 10. 寝付きが悪く、日中眠気がある |
3. 記憶・思考力の低下 | 7. 怒りや感情を爆発させる | |
4. イライラが高まる | 8. 判断力、注意力の低下 |
「化学物質過敏症」は、自律神経を中心とした、非常にたくさんの症状を呈するもので、図-2が主な症例です。
これらの症状の現れ方は患者さんの住環境等(要因)で決まり、科学物質によって、特定の症状が出てくるものではありません。
図-2「化学物質過敏症」の症状 | |||
自立神経障害 | 発汗異常、手足の冷え、易疲労性 | 消化器障害 | 下痢、便秘、悪心 |
精神障害 | 不眠、不安、うつ状態、不定愁訴 | 眼科的障害 | 結膜の刺激症状 |
末梢神経障害 | 運動障害、四肢末端の知覚異常 | 循環器障害 | 心悸亢進 |
気道障害 | のどの痛み、渇き | 免疫障害 | 皮膚炎、喘息、自己免疫疾患 |
家はたくさんの住宅用建材や塗料などに取り囲まれて暮しています。
どの様な化学物質があるか調べてみましょう。家は有害物質のかたまりだったのです。
平成14年4月現在、建築基準法を改正し「シックハウス対策の義務化」を整備しています。これは、法の整備ではなく、設計者・施工者が当然理解し、実施するべき物です。又、住む側の皆さんも「シックハウス対策」を理解してください。いかに対策を紹介します。
断熱材が厚くなればなるほど隙間をふせぐ必要性が高まり、それは結果として高気密化につながるということです。そして、高気密になれば隙間風がすくなくなり、エネルギー的にも効率が良くなります。しかし、その一方では換気の問題コンクリートがでてきます。高気密になればとてもまかないきれないのです。換気用の開口の必要性が計画換気という概念に結びついてくる理由です。
計画換気とは、どこから外気を取り入れてどこから排気するのか、この経路をはっきりさせるということです。人間一人当たりに必要な新鮮な空気は、1時間に20~30立方メートルの換気ができる空気の流れをどのようにつくり出すか?これも今後の大きな課題になるでしょう。
換気を心がけましょう。まず、家の室内換気を、行いましょう。室内の高気密化が、化学物質過敏症の原因につながっています。最近の住宅はエアコンなどにより窓を開ける回数が減っているようです。その点旧来の和風住宅 は日本の気候風土に(夏の高温多湿)に適応していました。
設計者、施工者に、健康志向であることをはっきりと告げ一緒に勉強して、取り組んで下さい。
合板やフローリング゙にはJASで基準値を定めたFC0(ホルムアルデヒド0.5mg/㍑以下)のグレードがあります。パーチクルボード・繊維板にはJIS規格E0~E2までのグレードがあり、壁紙については、自然素材の製品が多くあります。接着材を含め安全性を検討する必要があります。塗料、木材保存剤などにはこのような基準がなく、安全な材料を選ぼうとしても、何の目印もないのが現状で注意が必要です。現在(平成14年)、JIS規格の検討中。早い整備が必要です。
【豆知識】○ホルムアルデヒド拡散量はWHO基準 0.08ppm以下です。
近年、健康志向建材と称して多くの商品が市場に出ています。それぞれ、ノンフォルムとか低ホルムと宣伝していますが、ホルムアルデヒドが無い訳ではなく、含有量が基準値以下であることを理解し、ゼロホルマリンを選択するようにしたいですね。
ノン・ホルムアルデヒドとはF-1の事でホルムアルデヒドは含まれます。また低ホルムアルデヒドとはF-2の事で、この合板を使って作った家では1ppmを超える数値が実際に測定されており、この合板を使うときは細心の注意が必要です。もし、ホルムアルデヒドを使わない合板の指定を受けたときにはノン・ホルムアルデヒドではなく、F-0を使用してください抗菌フロアはF-2規格相当品です。
※壁はコスト的には壁紙が安いのですが、フォルマリン有機リン系の可塑剤を使っているビニールクロスは駄目です。紙と布があるが紙クロスは防炎・防虫加工などしてあるものは当然有害です。